110119_STOCK / 110211_STOCK ファームウェアマニュアル

(110930_STOCK / 110930_MODも同様の設定方法です。 )
このマニュアルは、第三世代ファームウェア「110119」及び「110211」へのアップデートに伴う追加機能に関する利用方法を説明しています。 ファームウェアのアップデート時には、本内容を良く読みご理解の上、製品を御使用下さい。

■ 100518_STOCKファームウェアと110119_STOCK / 110211_STOCKファームウェアとの大きな違い
100518_STOCKファームウェアのタイミング(進角)設定が最大29°であることに対して、110119_STOCKファームウェアでは最大60°、110211_STOCKファームウェアでは最大64°のタイミング設定が可能になっています。

その他、「100518」から以下のような改良点が加えられています。

1. さらに強力かつ迅速な加速性能。
2. ブーストタイミングとターボタイミングは、より細かな1段階1度の調整が可能となり、スムーズな動作を実現。
3. ターボタイミングとブーストタイミングは合成して使用できるため、好みに合わせた加速スタイルを実現可能。
※最大タイミングは110211_STOCKが64°まで、110119_STOCKは60°までとなっています。
4. ターボタイミングの増加率(スロープ・レート)が調整可能。
5 .“ブーストスタート”と“ブーストタイミング”のための多くのオプションを用意。
6. 最大ブレーキの設定が従来の4つから8つに変更。

<<注意事項>>
■ 110119_STOCK / 110211_STOCKファームウェアがESCにロードされると、ESC本体及びプログラムカードではセッティングが行えなくなるため、ESCのセッティングを行うためにはLCDプログラムボックスが必要となります。

■ LCDプログラムボックスを使用して110119_STOCK / 110211_STOCKファームウェアをロードしたESCのセッティングを行うためには、LCDプログラムボックスのバージョンを“V1.7_110119”以降の最新にアップグレードする必要があります。

※LCDプログラムボックスのアップグレード時、まれに途中で中断される場合があります。その場合は再度アップデートを実行することで正常に完了します。

LCDプログラムボックスのファームウェアをアップデートする方法は?
こちらをご確認ください:http://www.powers-international.com/international/hobbywing/usb-p.htm

ターボ機能関連プログラム項目の説明

#9.ブーストタイミング:ブーストさせるタイミングの最大値を設定します。
※ これはESCにおけるタイミング設定の最大値であるため、実際のタイミングはモーター回転数により常時大きく変動していることに注意して下さい。(
V3.0 110119_MODの場合は、0〜16まで)

ブーストタイミング (角度) 0°から 64°まで 1°刻み (110119_STOCKは60°まで)

100518_STOCK Vs. 110211_STOCK ブーストタイミング比較表
100518
STOCK
#9=1
#9=2
#9=3
#9=4
#9=5
#9=6
#9=7
#9=8
110211
STOCK
12°
18°
24°
30°
36°
42°
48°

#10.ターボ・スロープ・レート(角度/0.1s):ターボタイミングの増加率を設定します。設定値が高いほど、ターボタイミングが早く増加するため強力な加速が得られますが、同時にモーター温度は上昇します。
設定値
1
2
3
4
5
6
ターボ・スロープ・レート
(角度/0.1s)
3°/0.1s 6°/0.1s 12°/0.1s 18°/0.1s 24°/0.1s 遅延無しでターボタイミング最大値が有効になります
例:ターボタイミングを24度、ターボ・スロープ・レートを3°/0.1sに設定すると、24°のターボタイミングを有効にするのに0.8sかかります。


#12.ターボタイミング:フルスロットル時に有効となるブーストタイミングへの追加タイミングを設定します。長いストレートのあるサーキットに効果的です。 V3.0 110119_MODの場合は、0〜20まで)
ターボタイミング (角度)
0°から 40°まで 1°刻み
110211_STOCKファームウェアにおけるタイミング効果(ブーストタイミング + ターボタイミング)の最大量は64°(110119_STOCKは60°)に設計されているため“ブーストタイミング + ターボタイミング“の合計が64°を超えている場合、64°以上のタイミング設定は無効となります。

例1:
ブーストタイミングを64°に設定、ターボタイミングを10°に設定
64°のタイミング設定はフルスロットルにする前から有効ですが、フルスロットル後の追加タイミング(ターボタイミング)は効果がありません。

例2:
ブーストタイミングを54°に設定、ターボタイミングを10°に設定
フルスロットル前には54°までのタイミングが有効となり、フルスロット後に追加で10°のタイミングが有効になります。
ブーストタイミング
ターボタイミング
フルスロットル前の最大タイミング
フルスロットル時に追加されるタイミング
合計タイミング
48
30
48
16
64
30
10
30
10
40
20
40
20
40
60
25
40
25
39
64


#13.ブーストスタート回転数:モーターの回転数がブーストスタート回転数に到達すると、ESCはタイミングを増加させ始めます。ブーストスタート回転数を小さく設定した場合、早い段階でタイミングの増加が始まります。
V3.0 110119_MODの場合は、使用せず)
設定  
ブーストスタートRPM (RPM) 1000から15000RPMまで1000RPM刻み


#14.ターボディレイ:フルスロットル時間がターボディレイの設定値に達するまで、ターボタイミング機能は有効になりません。
設定値
1
2
3
4
5
6
7
8
9
ターボディレイ(秒)
0
0.1秒
0.2秒
0.3秒
0.4秒
0.5秒
0.6秒
0.7秒
0.8秒


#15.ブーストタイミングアクセラレーション:ブーストタイミング1度あたり回転数の増加を設定します。
数値が低ければ低いほどモーターのパワーは大きくなりますが、モーター温度は高くなります。
V3.0 110119_MODの場合は、使用せず)
設定  
ブーストタイミング
アクセラレーション(RPM/角度)
50RPM/1°から750 RPM/1°まで、 50 RPM 刻みで設定

この設定は誤解されがちなので注意して下さい。モーターの回転数に応じたブーストタイミングの可変設定において、ブーストタイミングアクセラレーションの設定値が回転数毎のタイミングの増加率として反映されます。
一般的にタイミングが大きくなるごとに、モーターはよりパワフルになると共に発熱も増大するため、タイミングを大きくしすぎた場合、低速走行中であってもモーターが過熱したり発煙したりすることがあります。
この問題を解決するためには、ブーストスタートの設定を活用し、低速時は少ないタイミングで走行し、ブーストスタート回転数到達後、回転数に応じてタイミングが増加を始める可変タイミングの設定が有効です。


スピードとタイミングの関係
設定例 1
ブーストスタートRPM = 4000
ブーストタイミングアクセラレーション =200RPM/1°
設定例 2
ブーストスタートRPM =9000
ブーストタイミングアクセラレーション=400RPM/1°
スピード( RPM )
タイミング
スピード( RPM )
タイミング
<4000
0
<9000
0
4200
1
9400
1
4400
2
9800
2
4600
3
10200
3
4800
4
10600
4
5000
5
11000
5
5200
6
11400
6
5400
7
11800
7
5600
8
12200
8
5800
9
12600
9
6000
10
13000
10
6200
11
13400
11
6400
12
13800
12
6600
13
14200
13
6800
14
14600
14
7000
15
15000
15
7200
16
15400
16
7400
17
15800
17
7600
18
16200
18
7800
19
16600
19
8000
20
17000
20
8200
21
17400
21
8400
22
17800
22
8600
23
18200
23
8800
24
18600
24
9000
25
19000
25
9200
26
19400
26
9400
27
19800
27
9600
28
20200
28
9800
29
20600
29
10000
30
21000
30
10200
31
21400
31
10400
32
21800
32
10600
33
22200
33
10800
34
22600
34
11000
35
23000
35
11200
36
23400
36
11400
37
23800
37
11600
38
24200
38
11800
39
24600
39
12000
40
25000
40
12200
41
25400
41
12400
42
25800
42
12600
43
26200
43
12800
44
26600
44
13000
45
27000
45
13200
46
27400
46
13400
47
27800
47
13600
48
28200
48
13800
49
28600
49
14000
50
29000
50
14200
51
29400
51
14400
52
29800
52
14600
53
30200
53
14800
54
30600
54
15000
55
31000
55
15200
56
31400
56
15400
57
31800
57
15600
58
32200
58
15800
59
32600
59
16000
60
33000
60
16200
61
33400
61
16400
62
33800
62
16600
63
34200
63
16800
64
34600
64
>16800
64
>34600
64

注:“ブーストタイミング”の設定値が60°より低い場合、たとえば、20°に設定すると、タイミングは例1の中でモーター速度が8000RPMを超えた場合でも20°のままとなります。

1.高いトップスピードを得る設定方法
A.タイミングを増加させる
B.ギヤ比を減少させる
C.加速度を増加させる
加速に必要な十分な長さのストレートが無いコースでは、トップスピードにならないうちに直線が終わってしまい、トップスピードが低いと感じることがありますが、本当の理由は加速の弱さにあるため、加速度を増加する必要があります。


2.スタート時の加速力を向上させる設定方法
A.タイミングを増加させる
B.ブーストスタート回転数を減少させるか、ブーストタイミングアクセラレーションを減少させる。
C.ギヤ比を増加させる
D.ターボディレイを減少させる
E.ターボ・スロープ・レートを増加させる
F.スタートパンチを増加させる(ESCのプログラム項目#4です。ESCの取扱説明書をご確認ください)

3.モーターの温度を下げる長時間走行向けの設定方法

A.タイミングを減少させる
B.ブーストスタート回転数を増加させるか、ブーストタイミング加速を増加させる
C.ターボディレイを増加させる
D.ターボ・スロープ・レートを減少させる


■推奨設定一覧表(2セルリポ、モーターエンドベルの物理タイミングは0°から5°です)
車種
モーター
ギヤ比
#9
ブースト
タイミング
#10
ターボ
スロープ
レート
#12
ターボ
タイミング
#13
ブーストスタートRPM
#14
ターボ
ディレイ
#15
タイミング
アクセラレーション
1/10 オンロード
11.5T
6.0-7.0
34-42°
18°/0.1s
16-26°
4000
0.4s
300-450
13.5T
5.0-7.0
34-54°
18°/0.1s
20-30°
3000
0.4s
200-300
17.5T
5.0-7.0
34-55°
18°/0.1s
20-30°
3000
0.2s
150-300
1/10 オフロード
(一般的にターボ機能はオフロードカーでは推奨されません)
11.5T
7.5-9.5
12°
6°/0.1s
6000
Off
400-500
13.5T
7.0-9.0
16°
6°/0.1s
5000
Off
200-350
17.5T
7.0-8.5
20°
6°/0.1s
12°
3000
Off
200-350

最適なギヤ比はサーキットにより異なります。一般的には、長いストレートがある大型のサーキットではより高いトップスピードを得るための設定を行い、テクニカルなサーキットではパンチ力(加速)を重視して設定を行います。